【動画付きで解説】遊戯王における「発動のタイミングを逃す」とは?【時と場合】

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【動画付きで解説】遊戯王における「発動のタイミングを逃す」とは?【時と場合】

遊戯王カードには複雑なルールが多数存在しますが、その中の一つに「タイミングを逃す」というものがあります。

効果処理時に起こる問題の一つで、カードテキストの違いや効果処理の方法を知っておく必要があるため、初心者の方には理解しづらいルールです。

しかし、きちんと理解していないと発動できるはずの効果を発動できなかったり、相手の効果を適切に対処できなかったりするため、絶対に覚える必要があります。

ここでは、「タイミングを逃す」ルールについて、初心者の方でも分かりやすいように動画付きで詳しく解説しています。

一度理解してしまえば実はそこまで難しくないと思うので、一気に解決しちゃいましょう!

テキストの違い(「時」と「場合」)

遊戯王カードの効果テキストには主に以下の3種類があります。

  • 「○○した時、××できる。」[時の任意効果]
  • 「○○した場合、××できる。」[場合の任意効果]
  • 「○○した場合、××する。(○○した時、××する。)」[強制効果]

「時」と「場合」のテキストは一見すると似たように見えますが、それぞれ効果の処理が異なります。

この中でもタイミングを逃す効果は「○○した時、××できる。」[時の任意効果]のみです。

(「○○した時、××する。」は過去に使われていたテキストですが、再録される際に「○○した場合、××する。」に統一されています。そのため長らく再録されていない一部の古いカードにのみ見られるテキストです。)

例えば、

  • このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。[時の任意効果]
  • このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。[場合の任意効果]
  • このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。[強制効果]

同じように見えるこれらのテキストですが、[時の任意効果]の場合のみタイミングを逃す可能性があります。

このことを覚えておきましょう。

「タイミングを逃す」とは?

前述した「○○した時、××できる。」[時の任意効果]は、「発動条件を満たした直後にしかその効果を発動できない」ルールとなっています。

そのため、発動条件を満たした後に別の処理が行われると、その効果を発動することができなくなります。

この[時の任意効果]の発動条件を満たした後に別の処理が行われ、効果を発動できないことを「タイミングを逃す」と呼びます。

タイミングを逃す場面と実例(動画付きで解説)

[時の任意効果]がタイミングを逃すのは、主に以下の3つのパターンです。

(例としてゲーム「遊戯王デュエルリンクス」での処理を動画で紹介していますが、遊戯王OCG・遊戯王マスターデュエルでも同じ処理となります。)

パターン①:一連の効果の途中で発動条件を満たした時

一つの効果の処理中に発動条件を満たし、その後も一連の効果の処理が続く場合、タイミングを逃してしまいます。

類似のタイミングを逃さない例

E・HERO ソリッドマンとE・HERO エアーマン

E・HERO ソリッドマン
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下の「HERO」モンスター1体を特殊召喚する。②:このカードが魔法カードの効果でモンスターゾーンから墓地へ送られた場合、「E・HERO ソリッドマン」以外の自分の墓地の「HERO」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
「E・HERO ソリッドマン」の『①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下の「HERO」モンスター1体を特殊召喚する。』を使用して、「E・HERO エアーマン」を特殊召喚します。

その際、「E・HERO エアーマン」の『①:このカードが召喚・特殊召喚した時、以下の効果から1つを選択して発動できる[時の任意効果]』を発動します。

この場合は問題なく「E・HERO エアーマン」の効果を発動することができます。

タイミングを逃す例

ゴブリンドバーグとE・HERO エアーマン

ゴブリンドバーグ
①:このカードが召喚した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。このカードが攻撃表示の場合、さらにこのカードは守備表示になる。
「ゴブリンドバーグ」の『①:このカードが召喚した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。このカードが攻撃表示の場合、さらにこのカードは守備表示になる。』を使用して、「E・HERO エアーマン」を特殊召喚します。

その際、「E・HERO エアーマン」の『①:このカードが召喚・特殊召喚した時、以下の効果から1つを選択して発動できる[時の任意効果]』を発動したいのですが、このケースの場合タイミングを逃してしまい発動する事はできません。

これは「E・HERO エアーマン」の特殊召喚後に、「ゴブリンドバーグ」の『このカードが攻撃表示の場合、さらにこのカードは守備表示になる。』という一連の効果の処理が行われ、「発動条件を満たした直後」ではなくなってしまっているためです。

そのため、「ゴブリンドバーグ」の効果処理後には「E・HERO エアーマン」の『①:このカードが召喚・特殊召喚した時』というタイミングは過ぎてしまっており、いわゆる「タイミングを逃す」という理由で効果を発動できないことになります。

パターン②:チェーン2以降で発動条件を満たした時

チェーン処理中に発動条件を満たしてもチェーン解決中は新たな効果を発動できず、そのチェーン解決後にはタイミングを逃してしまい効果を発動できません。

タイミングを逃す例

リビングデッドの呼び声とE・HERO エアーマン

リビングデッドの呼び声
①:自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールドから離れる時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊される時にこのカードは破壊される。
「リビングデッドの呼び声」の『①:自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。』を使用して、「E・HERO エアーマン」を特殊召喚します。

その際、「E・HERO エアーマン」の『①:このカードが召喚・特殊召喚した時、以下の効果から1つを選択して発動できる[時の任意効果]』を発動したいのですが、チェーン2以降で「リビングデッドの呼び声」を発動している場合、タイミングを逃してしまい発動する事はできません。

これは「リビングデッドの呼び声」の効果による「E・HERO エアーマン」の特殊召喚がチェーンの解決中に行われており、特殊召喚後に残りのチェーン解決処理が行われ、全てのチェーン解決処理が終わった時には「発動条件を満たした直後」ではなくなってしまっているためです。

そのため、「E・HERO エアーマン」の『①:このカードが召喚・特殊召喚した時』というタイミングは過ぎてしまっており、いわゆる「タイミングを逃す」という理由で効果を発動できないことになります。

パターン③:コストやアドバンス召喚のリリース、特殊召喚の素材となった時

墓地へ送られることを発動条件とする[時の任意効果]を持つカードが、何らかのコストやアドバンス召喚のリリース、特殊召喚の素材として墓地へ送られた場合、タイミングを逃してしまいます。

特殊召喚時の素材として墓地へ送られた例

人造人間-サイコ・リターナー

人造人間-サイコ・リターナー
①:このカードは直接攻撃できる。②:このカードが墓地へ送られた時、自分の墓地の「人造人間-サイコ・ショッカー」1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは自分エンドフェイズに破壊される。
自分の墓地に「人造人間-サイコ・ショッカー」が存在する際に、「人造人間-サイコ・リターナー」をシンクロ召喚の素材に使用し、『②:このカードが墓地へ送られた時、自分の墓地の「人造人間-サイコ・ショッカー」1体を対象として発動できる[時の任意効果]そのモンスターを特殊召喚する。』を発動しようとしますが、この場合タイミングを逃してしまい効果を発動する事はできません。

これは「人造人間-サイコ・リターナー」が墓地へ送られた後に、シンクロモンスターのシンクロ召喚処理が行われ、「発動条件を満たした直後」ではなくなってしまっているためです。

素材が墓地に送られるタイミングと、シンクロモンスターが特殊召喚されるタイミングは一見同時のように感じられますが実は異なります。

この一連の処理の流れは、OCGよりマスターデュエルやデュエルリンクスなどのゲームの方が視覚的に分かりやすいです。

また、儀式素材・融合素材・シンクロ素材・リンク素材は全てこの例に当てはまり、墓地へ送られることを発動条件とする[時の任意効果]はタイミングを逃します。

アドバンス召喚時のリリースで墓地へ送られた例

人造人間-サイコ・リターナー

人造人間-サイコ・リターナー
①:このカードは直接攻撃できる。②:このカードが墓地へ送られた時、自分の墓地の「人造人間-サイコ・ショッカー」1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは自分エンドフェイズに破壊される。
自分の墓地に「人造人間-サイコ・ショッカー」が存在する際に、「人造人間-サイコ・リターナー」をアドバンス召喚のリリースに使用し、『②:このカードが墓地へ送られた時、自分の墓地の「人造人間-サイコ・ショッカー」1体を対象として発動できる[時の任意効果]そのモンスターを特殊召喚する。』を発動しようとしますが、この場合もタイミングを逃してしまい効果を発動する事はできません。

上述の『特殊召喚の素材として墓地へ送られた例』と似た様に、リリースされて「墓地へ送られた時」という「発動条件を満たした直後」に上級モンスターがアドバンス召喚される処理が入るため、タイミングを逃してしまいます。

カードのコストとして墓地へ送られた例

No.20 蟻岩土ブリリアントと人造人間サイコリターナー

No.20 蟻岩土ブリリアント
①:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分フィールドの全てのモンスターの攻撃力は300アップする。
自分の墓地に「人造人間-サイコ・ショッカー」が存在する際に、「No.20 蟻岩土ブリリアント」の『①:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分フィールドの全てのモンスターの攻撃力は300アップする。』をエクシーズ素材となっている「人造人間-サイコ・リターナー」を取り除いて発動した場合、『②:このカードが墓地へ送られた時、自分の墓地の「人造人間-サイコ・ショッカー」1体を対象として発動できる[時の任意効果]そのモンスターを特殊召喚する。』を発動しようとしますが、この場合もタイミングを逃してしまい効果を発動する事はできません。

これは「墓地へ送られた時」という「発動条件を満たした直後」に「No.20 蟻岩土ブリリアント」の『自分フィールドの全てのモンスターの攻撃力は300アップする。』の処理が行われるためです。

遊戯王カードでは必ず「コスト→効果」の順で処理が行われるので、コストで墓地へ送られた場合、その後に必ず効果の処理が入り、墓地へ送られることを発動条件とする[時の任意効果]を発動する事はできません。

カードの効果で墓地へ送られた例①(類似のタイミングを逃さない例)

No.49 秘鳥フォーチュンチュンと人造人間サイコリターナー

No.49 秘鳥フォーチュンチュン
このカード名の④の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:フィールドのこのカードは効果の対象にならない。②:フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードのX素材を1つ取り除く事ができる。③:自分スタンバイフェイズに発動する。自分は500LP回復する。④:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、自分の墓地のレベル3モンスター2体を対象として発動する。そのモンスター2体をデッキに戻し、このカードをEXデッキに戻す。
自分の墓地に「人造人間-サイコ・ショッカー」が存在する際に、「No.49 秘鳥フォーチュンチュン」の『②:フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードのX素材を1つ取り除く事ができる。』でエクシーズ素材となっている「人造人間-サイコ・リターナー」を取り除いた場合、『②:このカードが墓地へ送られた時、自分の墓地の「人造人間-サイコ・ショッカー」1体を対象として発動できる[時の任意効果]そのモンスターを特殊召喚する。』を発動することができます。

「No.49 秘鳥フォーチュンチュン」の『②:フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードのX素材を1つ取り除く事ができる。』は自身のエクシーズ素材をコストではなく効果で取り除き、「墓地へ送られた時」という「発動条件を満たした直後」に行われる処理がないため、タイミングを逃しません。

カードの効果で墓地へ送られた例②

暗黒界の取引と人造人間サイコリターナー

暗黒界の取引
①:お互いはそれぞれデッキから1枚ドローする。その後、ドローしたプレイヤーは自身の手札を1枚選んで捨てる。
自分の墓地に「人造人間-サイコ・ショッカー」が存在する際に、「暗黒界の取引」の『①:お互いはそれぞれデッキから1枚ドローする。その後、ドローしたプレイヤーは自身の手札を1枚選んで捨てる。』で手札から「人造人間-サイコ・リターナー」を捨てた場合、『②:このカードが墓地へ送られた時、自分の墓地の「人造人間-サイコ・ショッカー」1体を対象として発動できる[時の任意効果]そのモンスターを特殊召喚する。』を発動することができます。

「暗黒界の取引」の効果進行の手順は「発動プレイヤーがドロー→相手プレイヤーがドロー→発動プレイヤーが手札を捨てる→相手プレイヤーが手札を捨てる」となるため、「人造人間-サイコ・リターナー」を捨てた後に相手プレイヤーが手札を捨てる処理が入り一見タイミングを逃すように見えますが、「暗黒界の取引」は公式で『2枚のカードは同時に墓地へ捨てられた扱いになる。』と裁定が出ているので、「墓地へ送られた時」という「発動条件を満たした直後」に他の処理等はなくタイミングを逃しません。

このように、効果で墓地へ送られた場合、後に別の処理がなければ[時の任意効果]をタイミングを逃さずに発動する事ができます。

まとめ

遊戯王カードにおいて、タイミングを逃す効果は「○○した時、××できる。」[時の任意効果]のみだということを理解しておけば基本的に大丈夫です。

そのうえで、[時の任意効果]をタイミングを逃さずに発動できるよう(または相手の[時の任意効果]のタイミングを意図的に逃せるよう)、チェーンの組み順や別の処理が入らないかどうか、墓地に送るのがコストなのか効果なのか等を確認しながらプレイできるようになると「タイミングを逃す」というルールについてはマスターしたといっても過言ではないと思います。

また、ごく一部のカード効果には特殊裁定など通常のルールに沿わない場合も見られますが、そのような場合はその都度確認すれば大丈夫です。

この調子で遊戯王の複雑なルールをマスターしていきましょう!